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2026年2月17日
コラム

日本各地にはその地域独自の交通ルールや運転マナーがあるらしく、それらをご当地走りと呼ぶそうです。
もっとも、ご当地走りの多くは道路交通法に違反する運転方法であり、中には重大な事故にもつながりかねない危険なものもあります。
それゆえ、決して地域の自慢となるようなものではないのですが、実は私の住む長野県松本市にも「松本走り」と呼ばれるものがあって、何年か前には市役所の広報誌で特集されたことがあるほど広く知られています。
一口に松本走りと言ってもいろいろな運転方法が含まれるようですが、代表的なものは交差点での右折に関するものです。
例えば、次のような右折方法が挙げられます。
| 例1 直進してくる対向車のわずかな車間を縫って右折する 例2 対向車が左折するタイミングでそこにかぶさるようにして右折する 例3 信号待ちの状況で、信号が赤から青に変わる直前(=全方向の信号が赤になっている状態)に自車を発進させて、交差点を直線的に右折する |
これらはいずれも道路交通法に違反しています。
すなわち、道路交通法では、交差点で右折する車両は、直進車や左折車の進行を妨害してはならないとされています(同法37条)。
しかし、例1や例2のような強引な右折方法は直進車や左折車の安全な進行を妨げるものですので、法律に違反していると言わざるをえません。
また、例3は、赤信号にもかからず発進して交差点に進入するわけですから、信号無視であることは明白です(道路交通法7条違反)。
このような松本独自の走り方が行われるようになった原因はいくつかあると考えられますが、一つには松本はかつて城下町であったことから、道幅が狭く右折専用レーンが設置されていない道路が多いことが挙げられます。
そのほかにも、変則的な形状の交差点が多いことや、市内の道路が慢性的に渋滞していることなども理由として挙げられるでしょう。
右折車が関わる場面が多いのは、交差点で右折待ちをする間に後続が渋滞することを気兼ねするあまりに強引な右折方法につながっているとの指摘があります。
そうであれば、右折専用レーンや時差式信号機を導入すれば問題は解決しそうであり、実際に県や市もそのような対策を進めているところではありますが、問題はそう簡単ではないようです。
松本に住むようになってから気づいたのですが、直進車の中にも、信号が黄色になっても減速しようとせず逆に交差点を突き切ろうと加速する車がいたり、時には赤信号になってから停止線を越えているとしか思えない車さえしばしば見受けられます。
直進車の方にも松本走りに対する防御的圧力が無意識のうちに働いているのではないかと考えられ、問題の解決をいっそう困難にしているようです。
ところで、このような松本走りによって万が一事故となった場合に、その過失割合はどうなるのでしょうか。
交差点の信号が双方とも青だった場合、直進車と右折車の基本となる過失は20:80ですが、上記の例1や例2のような強引な右折をした場合には、徐行なしや直近右折を理由に、過失割合が右折車に不利に修正される可能性があります。
その結果、極端な場合には、右折車の過失が100%になってしまうことすらありえます。
他方で、既に右折車が青信号で交差点内に進入しているにもかかわらず、直進車が強引に交差点を突き切ろうとした場合には、当然ながら直進車に不利な過失割合が認定されます(例えば、直進車が赤信号で進入した場合には、90~100%の過失が認定される可能性があります)。
ご当地走りには地域の特殊な交通事情のためにやむをえない部分もあるのでしょうが、そうは言っても自動車の運転は交通法規を遵守することが大前提です。
自動運転の技術が飛躍的に発達しつつあるとはいえ、最終的に自動車の運転に責任を持つのは運転者自身です。
不幸な事故を防ぐためにも、譲り合いの精神をもって安全に運転するよう心がけたいものです。
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